年齢や美貌に縛られる人間の欲望を、ゾクっとするサスペンスとビジュアルで描き出す『サブスタンス』。主人公を演じるのは90年代を代表するスター、デミ・ムーア。
彼女が挑むのは、かつての栄光を取り戻したいと願う女性の葛藤と、その願望が呼び寄せる“もうひとりの自分”。ハリウッドの表と裏を絡めた物語は、単なるホラーではなく、現代社会が抱える「美」と「価値」の病理にまで切り込んでいく。
じわじわと広がる不安と鮮烈なビジュアルの応酬に、スクリーンから目が離せない!
RE:VIEWの読み方
💡このブログでは基本的にネタバレを含む感想を書いています。
まだ作品をご覧になっていない方や、ネタバレを避けたい方は、記事冒頭の作品紹介やあらすじ、そしてIMDbやFilmarksの評価スコア、および私の10段階レビューを参考にしてくださいね。
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あらすじ・キャスト紹介
もう仕事も減ってきて、年齢の壁にぶつかる主人公。そんな彼女の前に、謎めいた「サブスタンス」という治療法が現れる。
簡単に言うと“若返りの裏技”みたいなもの。だけど当然、うまい話には裏がある…。憧れと恐怖のはざまで、彼女はどんどん抜け出せない泥沼にハマっていく。
観てるこっちも「やばいぞこれ…!」っと胃がキュッとなるような展開が待ってます!
キャスト&スタッフ
役割 | 名前 |
---|---|
監督・脚本 | コラリー・ファルジャ |
エリザベス | デミ・ムーア |
スー | マーガレット・クアリー |
ハーベイ | デニス・クエイド |


Photo by Sofa Time
感想
『サブスタンス』はかなり衝撃作だったなぁ…。 若さと美しさへの執着が招いた悲劇。
それに映像がかなりグロい。注射器を刺すところとか、プロデューサーが食べてるエビの描写とか気持ち悪くて生々しい。エリザベス(50歳)と若返った分身のスーがフルヌードで煽情的にエクササイズのダンスを踊ったりね。
勿論日本なので局部にはボカシが入ってるけど。ラストシーンは血まみれでグロテスクの極み。ちょっとクローネンバーグ監督っぽいグロさがある映像なんでグロ耐性がない人は気持ち悪くなるかもしれない。
そしてハリウッドのルッキズム問題。
若く美しい事が芸能界では正義で歳を取って容色が衰えた女優は需要がなくなっていく。 1人で誰からも必要とされなくなる孤独と焦燥から、サブスタンスという違法薬物で若い分身を手に入れるけど、若い分身は母体(元の体)を蔑ろにして自分の欲望の赴くままルールを守らずサブスタンスを使って、結局は破滅する。
人の時間は不可逆。美しい人もいずれは老いていく。それを受け入れて生きる事が大事。
自然の摂理に反してでも若く、美しくいたいという欲望が招いた悲劇だね。時間って生きるもの全てに平等に進むし、それをどうにかしたら手痛いしっぺ返しがくるもんだよなぁ。
しかし、デミ・ムーアはよくこの役引き受けたなぁ。彼女のキャリアと私生活がこの映画と絶妙にリンクしてるように感じた。
素晴らしい演技だったし記憶にしっかり刻まれた作品だけど、彼女本人と重なって少し切なくなった。
まとめ
老いって生きてれば誰もが通る道だし、エリザベスは50歳であれだけエクササイズダンスができるくらい努力の人でもあったのに、外見の美しさや若さに囚われて道を踏み外してしまった。あそこでセカンドキャリアを見いだせてたら変わってたのになぁ。
美しい女性特有の焦燥感じゃないですかね?
特に芸能で働く人は次々と若く美しい人が出てきて、席を追われてしまう。他者評価に囚われて生きるより、自己評価で生きていく事って心の健康に良いんだろうね。